「なんか、毎月の給料から引かれている税金が高すぎる……」そう思い始めたら、それは節税対策を考える絶好のタイミングかもしれません。
節税対策は、経営者や個人事業主だけのものと思われがちですが、実は会社員(ビジネスパーソン)にとっても非常に身近で効果的なものです。まだ知らないだけで、国が用意してくれている「税金を軽減する仕組み」はたくさん存在します。
今回はビジネスパーソンに向けて、節税対策が必要な理由や、今すぐ実践できる具体的な方法について分かりやすく解説していきます。
なぜビジネスパーソンに節税対策が必要なのか?
ビジネスパーソンが能動的に節税対策を行うべき最大の理由は、何もしないと「せっかく年収が上がっても、手取りが思ったように増えない」という状況に陥るからです。
その背景には、日本の所得税に採用されている「累進課税(るいしんかぜい)制度」があります。これは、稼げば稼ぐほど税率が上がる仕組みです。所得税の税率は、課税される所得金額に応じて以下のように段階的に上がっていきます。
- 5%
- 10%
- 20%
- 23%
- 33%
- 40%
- 45%
※上記に加えて、一律約10%の住民税などもかかります。
このように、キャリアアップして給与が増えるほど税金の負担も重くなります。だからこそ、国が認めている「控除」を活用したり、正しい知識を身につけたりして、自ら手取りを守るアクションを起こす必要があるのです。
【初級編】やらないと損?簡単にできる「お金が残る」3点セット
厳密には「税金そのものを安くする仕組み(節税)」とは異なるものも含みますが、会社員がまず手をつけるべき手軽な制度が以下の3つです。
ふるさと納税
税金自体が減るわけではありませんが、「税金の先払い」をすることで、実質2,000円の自己負担で全国の魅力的な返礼品がもらえます。生活費(食費や日用品など)の削減に直結する、最も身近な制度です。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
老後資金を自分で積み立てる制度です。毎月の掛金が「全額所得控除」になるため、所得税や住民税を確実に安くできる強力な節税効果があります。
新NISA
こちらは所得控除はありませんが、「非課税枠の活用」です。通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかりますが、新NISA口座内であれば何度利益が出ても税金が一切かかりません。
【中級編】知っている人だけが得をする「控除」の活用
年末調整や確定申告の際、申請漏れが発生しやすい「控除」のテクニックです。
医療費控除 & セルフメディケーション税制
1年間で支払った「家族全員分の医療費」が原則10万円を超えた場合、医療費控除を受けられます。また、病院に行かなくても、ドラッグストアで購入した対象の市販薬(スイッチOTC医薬品)の年間購入額が12,000円を超えた場合は「セルフメディケーション税制」を利用でき、税負担を軽減できます(※両方の併用はできません)。
扶養控除の盲点(離れて暮らす親)
扶養控除は、同居している家族だけが対象とは限りません。田舎で暮らすリタイア後の両親などに定期的に仕送りをしており、「生計を一にしている」と認められる場合、扶養に入れることで自身の税金を安くできる場合があります。
生命保険料控除
加入している生命保険や医療保険、個人年金保険の保険料に応じて控除が受けられます。年末調整の書類を出すだけで確実に税金が戻ってくるため、申請忘れのないようにしましょう。
住宅ローン控除
もしマイホームを購入している(または購入予定の)場合は絶対に外せません。年末時点のローン残高に応じて、所得税や住民税から直接税金が差し引かれるため、会社員にとって非常にインパクトの大きい節税となります。
【上級編】副業を活用した一歩進んだ節税対策
近年、多くの企業で解禁されている「副業」も、実は強力な節税アプローチになり得ます。会社員が副業をはじめ、それが単なるアルバイト(給与所得)ではなく、自分でビジネスを行う「事業所得」として認められると、大きなメリットが生まれます。
最大の特徴は、ビジネスに使用するパソコン代、通信費、自宅の家賃や光熱費の一部などを「必要経費」として計上できるようになる点です。さらに、複式簿記での記帳を行うことで、最大65万円の「青色申告特別控除」という強力な優遇措置を受けることもできます。
さらに、副業の立ち上げ初期などで仮に赤字が出た場合、その赤字を本業の給与所得と相殺(損益通算)することで、本業で支払いすぎた税金を取り戻す(還付してもらう)ことも可能です。
【注意】単発のスポットワークは対象外になることも
継続性のない単発の副業や、お小遣い稼ぎ程度の規模の場合、事業所得ではなく「雑所得」と判断される可能性が高くなります。また、副業収入が300万円以下の場合、しっかりとした「記帳・帳簿保存」をしていないと原則として事業所得(青色申告)には認められませんので注意しましょう。
注意!ビジネスパーソンが陥りやすい「NGな節税」の罠
節税に取り組む上で、絶対に忘れてはならない注意点があります。それは、節税はあくまで法律(ルール)に則った「合法的な範囲内」で行うものだということです。経費でないものを無理やり経費にしたり、収入を隠したりする行為は「節税」ではなく「脱税」という犯罪行為になります。税務署の調査が入れば、ペナルティとして重い追徴課税が課されます。
また、合法の範囲内であっても、「節税になりますよ」という怪しい投資話や不動産投資の勧誘には十分注意してください。仮に数万円の節税になったとしても、投資した商品の価値が暴落したり、毎月大きな赤字を垂れ流したりしては、トータルの資産で大損してしまいます。
「本末転倒な節税」にならないよう、少しでも違和感を覚えた話には手を出さないのが賢明です。
まとめ:節税は手取りを増やす最も確実なアプローチ
節税の素晴らしいところは、行動を起こせば「確実に手取りが増える」という即効性の高さにあります。特に、年収が高くなってきた方ほど、その恩恵は大きくなります。お金を手元に残すためにできることは、「入ってくる収入(額面)を増やすこと」だけではありません。「出ていくお金(税金や固定費)を減らすこと」も同じくらい重要です。その強力な武器となるのが節税対策です。
今回ご紹介した中から、まずは自分ができそうなアクションを1つ選んで、始めてみてはいかがでしょうか。
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